Vol.23 植物の価値、作り手の思い

GreenJam店主プランツドクター中山の気ままにコラムお客様の終活・植物への想いについて

新年早々でちょっと固いお話なのですが・・。
昨今、『終活』なんて言葉が当たり前のように使われておりますが、所謂生前に行う身辺整理のことを指すわけですけどもね。

園芸、というか趣味事全般に言えることですが、趣味家同士でないとわかりあえない世界ですよね。
こと園芸となると植物も生きている訳なので、身辺整理で捨ててしまおうとか、植物を触ったこともない方にどうぞ、なんて譲る訳にもいかず
「さてどうしたものか・・」となってしまうものなのです。
昨今ではオークションサイトやらフリマサイトなどが多く知られており、
個人の方でも簡単に趣味の植物を売買出来てしまう世の中です。しかしながら、終活なんて言葉を使われるようなご年配の方々がそういったサイトを利用するにもハードルが高い訳で。

そんな折に当店のお客さまである植物のマニアの方が一年ぶりにご来店され、開口一番「趣味の植物を買い取ってくれないか」と仰られた訳です。
基本的に植物の買い取りは一般の方からはしていないのですが、そこは遠路から通っていただいていたお得意さまでしたのでご事情だけでもと聞いてみると・・・。

終活、ってわけでもないが、ご病気でしばらく入院されるので植物を管理できなくなる。だから引き取って欲しい、とのこと。
当店でもいくつかご購入いただいていたのですが、とにかく植物のお好きな方でまさに我が子のように可愛がっていた植物を手放すのは断腸の思いであるだろうと推測できます。

非常に希少なコレクションでそれこそオークションなどに出せば一財産になろうかというレア物ばかり・・。
お客さま宅から当店まではかなりの距離があり、わざわざこんな埼玉くんだりの当店まで足を運ばれた理由は・・
「この植物の価値がわかる人間に託してきちんと管理できる人の手に渡るようにして欲しい」との思いからなのでした。

レアもの植物

今までいろいろな産地、生産者さんから沢山の植物を仕入れ、販売してきました。
もちろんお会いできる方には直接お伺いして話を聞き、作り手の思いをなるべく多くのお客様に知っていただきたいという信念のもとにGREEN JAMというお店を開き、今日までやってきました。
そのご年配のお客様の言葉を聞いたときに今までやってきたこと、お伝えしてきたことはとても大切なことだったのだと再認識出来ました。

植物をただ仕入れて販売するだけではダメなんですね。

植物を通して、その植物がどのような過程で今お客さまの手元に渡るのか。
それをキチンとお伝えして行くことが、私の、GREEN JAMの使命なのだなと感じました。

これからもキチンと植物の価値・作り手の思いを伝えられるように精進していきたいな、と思う出来事でした。

新年早々に、ちと重いお話で恐縮ですが今年の決意に替えて・・。
本年もどうぞよろしくお願い致します!

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